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【The Story】vol.4 パオラ・ナヴォーネ(後編)

9月より6回にわたり毎月1人の人物を取り上げ、ブランドにまつわるストーリーを、東京・大阪・名古屋のショールームブログよりリレー形式でお届けしています。 【The Story】vol.4の主人公はPAORA NAVONE(パオラ・ナヴォーネ)。 “DOMINIQUE Kieffer (ドミニク・キーファー)”のクリエイティブディレクターです。 前編では彼女のプロフィールをご紹介しました。後編では3つのキーワードから彼女のバックボーンに迫っていきたいと思います。 キーワード:旅人 パオラ・ナヴォーネは世界を旅することでも知られています。旅といっても彼女の場合はその土地の人々とふれあう体験型ステイのタイプでしょうか。 本格的な旅は幼いころから憧れていたアフリカから始まり、世界のあらゆる国に出掛けていきました。1980年代初頭から2000年にかけてはアジアを拠点に暮らしていたり。特に東南アジアにはその後も何度も足を運んでいるそうです。 そういった旅の中で現地の人々と交流を持ち、その土地の暮らしや生活道具だけにとどまらず、伝統や文化についても興味を持ち造詣を深めていきました。 彼女をここまで突き動かしたもの、それは「好奇心」です。 国境を越えた長い旅を通して見てきたもの、経験してきたことがインスピレーションの源となり彼女の仕事に大きく影響をもたらしています。 キーワード:アイコン パオラ・ナヴォーネの代名詞となるアイコンはふたつあります。 ひとつは「FISH」“魚”です。うお座生まれの彼女の作品には、魚のモチーフやオブジェがたびたび登場します。そして彼女は自分自身のことを流れに身を任せて泳ぐ魚のようだとも雑誌インタビューの中で喩えているなど、魚は彼女を表す特別な存在です。 そして「魚」である理由がまだ別にもあります。それは「魚」というものが、どの国でも認識できるユニバーサルデザインだと実感したからです。 彼女は魚のイメージをナチュラルでありながらも楽しいことを表現できるモチーフだと捉える一方で、イタリアと世界を結ぶルーツ、特に彼女が暮らした香港につながるオリエンタルのルーツを示しているのだそうです。 もうひとつのアイコンは色、「BLUE COLOUR」ブルーです。 パオラ・ナヴォーネはナチュラルな色からエネルギッシュな色まで、これまで旅する中で出会ってきた色たちを独特のユニークなセンスで組み合わせ、洗練された美しい世界感をつくりあげています。 その中で際立って目に飛び込んでくるのがブルーです。ではなぜこの色なのでしょうか? ブルーにはどんな色よりもイメージが膨らむ要素が詰まっているのだとか。 例えば…「やわらかさ」「力強さ」「ナチュラル」「強調」「面白さ」「真面目」「コンテンポラリー(現代的)」「トラディショナル(伝統的)」などなど。 つまり、そこに触れる人々の想像力を掻き立てるブルーを使って、さまざまな印象を表現しているのです。作品の数々に個性豊かなブルーが登場していますので、ぜひ色にもご注目ください。 キーワード:デザインの源 これまで30年以上の間、常に生み出し続けるデザインはどこから発想を得ているのでしょうか。 彼女にとってデザインをする時に心掛けていることは、いつもシンプルに考えること。建築もインテリアも家具もファブリックもまったく区別なくすべて同じ方法で作り出されているのだそうです。どんな方法なのか気になりますよね。 彼女は写真集「Tham ma da」の中でデザインの過程をオムレツ作りでなぞらえています。 コックさんのように、彼女は食べる人のことを想像しながら(きっと鼻歌も交えながら…)まずは食材選びから始めます。例えばマッシュルームとホウレンソウ、そしてトマトの組合せにしようかな~と。そしてお野菜を刻んだら卵と一緒に混ぜ合わせてフライパンへ。 彼女にとっては、食べる人が美味しいね!と喜んで食べてくれるオムレツを作ることがとても大切。だからもしポルチーニが苦手ならズッキーニに替えて作れば良いというそんな柔軟なスタンスで作られているのです。 デザインも同様に最後にクライアントにとって「これがいいね!」って思えるコトを想像しながら考えているのでしょうね。 彼女は完璧を求めてはいません。 むしろ自然なままの状態や不完全なところに面白さを見出しています。 日常にあるありふれた実用的なモノや全く異なる要素のモノを今までにない斬新な方法で利用するのも彼女のデザインの特徴です。この枠にとらわれない発想と実現力が彼女の魅力なのです。 (COMO METROPOLITAN MIAMI BEACH公式HPより) 実際にミラノにある自宅では、タイの工場で不要となった陶器を集めイタリアに持ち帰り、壁の装飾としてお洒落に再利用したり、これまで常識では不可能だと誰も実行しなかったことにも挑戦しています。それは、彼女がアジアに暮らしていた頃からの夢だった、家の中も外も延長上に繋がる家(境界のない家)を造るため。それが彼女にとっての居心地の良い場所の実現だったのです。 インテリアを手掛けたホテルの写真(COMO POINT YAMU, PHUKET公式HPより) 最後に、パオラ・ナヴォーネにとって「美しい暮らし」とはどんなことなのでしょうか。 彼女から返ってきた答えは「Imformal」(インフォーマル)“普段どおりの”でした。 クラシックとシンプルさ、そしてモダンなデザインが融合した洗練された空間。 だけどそこは、かたぐるしさが一切ないリラックスができる場所。エネルギーを蓄え元気になれるところなのだそうです。 1月は東京ショールームブログより「ジム・トンプソン」をお送りします。どうぞお楽しみに。 ※これまでパオラ・ナヴォーネがアートディレクションした歴代のコレクションカタログ (MANASのHPサイトを離れます。またカタログはPDFでの閲覧となりますのでご了承くださいませ) 【The Story】vol.1 ウィリアム・モリス 【The Story】vol.2 ニナ・キャンベル 【The Story】vol.3 マシュー・ウィリアムソン 【The Story】vol.4 パオラ・ナヴォーネ(前編)