MANAS TRADING

2018年02月のブログ一覧

トレンドセミナーリポート

2018.02.28 / osaka

先日プロのお客さま向けにトレンドセミナーを開催いたしました。

今年の1月に開催された「メゾン・エ・オブジェ」や「パリ・デコオフ」、
「ハイムテキスタイル」に見られる最新のインテリアトレンドをお届けさせていただき
お陰様で大変多くのお客様にお越しいただきました。

セミナー会場には、各ブランドの新作のサンプルで作ったムードボードの展示も行いました。
それぞれのブランドのイチオシのカラーやテクスチャーが一目でご覧いただけます。

RUBELLI(ルベリ)

ティファニーブルー、ヴェネツィアンレッド、シトロン、ピンク。
まるで宝石のような鮮やかなカラーが揃った今年のルベリ。
トレンドの小紋柄も、シルクを使った光沢のある質感で華やかに表現されています。

DOMINIQUE Kieffer(ドミニク・キーファー)

グレーをベースに、落ち着いた赤や青をアクセントにしたシックなカラー展開。
ラフィアを使った立体的な生地や、メッシュ素材のレースがシンプルなリネンの生地をモダンに見せてくれます。

OSBORNE&LITTLE(オズボーンアンドリトル)

今年設立50周年を迎えるオズボーン&リトル。
イタリアの街並みやイワシのプリント、クロスのラインをプリーツで表現したベルベッなど、
キャッチーなデザインが豊富に揃いました。

今回ご紹介した新作コレクションは、春の訪れとともにこれから発売を迎える予定です。
楽しみにお待ちください。

 

【The Story】vol.5 ジム・トンプソン(後編)

2018.02.14 / tokyo

昨年9月より6回にわたり毎回ひとりの人物を取り上げ、ブランドにまつわるストーリーを
東京・大阪・名古屋のショールームブログよりリレー形式でお届けしています。

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【The Story】第5回目後編は、“Jim Thompson (ジム・トンプソン)”
現在このブランドを支えるふたりの若きクリエイターたちのお話。

◆Jim Thompson―Ou Baholyodhin(ウー・バホリヨディン)―

こちらのビシッときめた男性はOu Baholyodhin(ウー・バホリヨディン)。
現在ジム・トンプソン社のクリエイティブディレクターを務めています。

1966年にタイ・バンコクで生まれ、ロンドン大学では建築学を専攻、
その後、フィレンツェでテキスタイルを、英キングストン大学にて家具・プロダクトデザインを習得。

卒業後はロンドンで家具デザインのスタジオを構えると同時に、国際的なコンペティションで次々と賞を受賞するなど、
デザイナーとしてのキャリアを華々しくスタートさせます。

ちょうどそんな時期、インテリアデザインコンサルタントとして携わったプロジェクトがジム・トンプソン社のもので、
展示会の家具・デザイン・ブランディング・マーケティングをコンサルタントとして統括するポジションに従事しました。

2013年からはジム・トンプソン社のホームファニシング部門のクリエイティブディレクターに就任しますが、
バホリヨディンは、自らをテキスタイルデザイナーとは考えていません。
多くの優れたデザイナーがそうであったように、自分が受けた(または見る側に与えたい)インスピレーションを
どう表現するかに、特定の媒体を必要とはしていないからです。
つまり、重要なのはどのようにファブリックが使われるのかという最終スキームを把握すること。

Instagram@jimthompsonfabrics

2016年の来日インタビューでも、デザインすることについてこのように語っています。
「家具からインテリア、商業施設のデザインやパーティ、テーブルウェアまでさまざまな手段をとおして
デザインを創造することの変化と実験は、とてもエキサイティングな作業なんだよ!」

そんなバホリヨディンのデザインはタイの精神性と西洋のエッセンスを融合させたリッチで上品なデザインが魅力。
それはまるでジム・トンプソンが現代に甦ったような感動を覚えます。
 
2014年「Arun」
熱帯性気候のタイでは雨季になると、ひと月の半分が雨になります。
ひとたびスコールが来れば人々はそれぞれの家屋に戻り、動物たちは大きく茂った木陰に身を潜ませ、
人も動物たちもただ 熱帯雨林に降り注ぐ雨の音と雷の轟きに耳を澄ませる静寂の世界。

そこには自然への畏敬、仏教における調和の世界が生まれます。


2017年『Floriental』コレクション                2012年『Spotlight』コレクション

やがて長く静かな雨季が明ければ、喜びの収穫期が訪れます。
絢爛の仏教寺院や宮廷に供えられる色とりどりの果実に、色鮮やかな絹で着飾られた仏僧や仏像たち。
市街には色が溢れていたことでしょう。
そんな陰と陽が織りなす伝統の中に生きる、色やモチーフを大胆に取り入れ、
常にその時代にフィットした絶妙なバランスで見事なデザインに仕上げるのがバホリヨディンの流儀。
それはかつてトンプソンがタイを訪れ初めて目にした光景の感動をそのまま、現在に再現させたかのようです。

 
2017年『Floriental』コレクション

そんなバホリヨディン率いる2018年新作コレクションは、『EVERY COLOUR UNDER THE SUN』。
タイシルク商会でシルクの販売を始めてから60周年という節目の年にちなんで、改めてシルクの美しさを再認識し、
これまで以上にジム・トンプソン氏への敬意を込めたコレクションに仕上がっているのだそう。

 
『EVERY COLOUR UNDER THE SUN』コレクション    『Bardo』コレクション「Sagano」

そして2018年の新作で注目すべきはベルギーの素晴らしいデザイナーであり、「色の魔術師」との異名をもつ
Gert Voorjans(ガート・ボージャン)とのコラボレート作品!
これまでのジム・トンプソンのデザインにはなかったような新たな世界観を展開しています。


Instagram@jimthompsonfabricsより

同郷のファッションブランド、ドリス・ヴァン・ノッテンの旗艦店のデザインを手掛けるなど、
インテリアデザイナーとして世界的に活躍するボージャンと、バホリヨディンは長年の友人だそう。
ボージャンのどこかゴシックでアーティスティックなデザインと、
オリエンタルなジム・トンプソンが織り成す化学反応をぜひお楽しみください。(※1)

 
「Melusine」3689/03             「Aeneas」3683/01

◆ No.9 Thompson ―Richard Smith リチャード・スミス―

続いては相棒とのツーショットが癒されるこちらの男性。
No.9 Thompson(ナンバーナイン・トンプソン) のクリエイティブディレクター
Richard Smith (リチャード・スミス)です。

2006年から発売されたジム・トンプソンのもう一つの顔、No.9は
2015年のイギリスのインテリア誌「House & Garden」のファブリックアワードを受賞するほか、
2016年には先日も開催されたばかりのパリ デコオフにてベストコレクションを受賞し、
現在世界から注目を集めるブランドのひとつに成長しています。

 
2014年『Butterfly House』コレクションより    No.9 Thompson HP 

リチャード・スミスのデザインの多くは彼のデッザンやハンドペイントから生み出されます。
イギリスのサセックスにある海を臨む開放的なスタジオで描かれる水彩のペイントは、
まるで乾いた海風を待ち受けるかのような、軽く柔らかなコットンやリネン地にプリントされます。

そのデザインのモチーフは南はアフリカ・ブラジルから、北はスカンジナビアンデザインまで、
世界中の古くから伝わる伝統的な文様や、文化からインスピレーションを得ています。

 
2015年「Dragon Dance」
こちらを見据えて威嚇するドラゴンは、リチャード・スミスの優しいタッチと色使いでどこか愛嬌のあるキャラクターに。


2016年に発表した『OBI』、『ORIGAMI』コレクションはその名のとおり日本がモチーフになっています。
川端に咲くアヤメをデザインしたこちらの「Water Garden」は、尾形光琳の「八橋図屏風」へのオマージュでしょうか。

そしてもうひとつ特筆すべきは、アウトドアコレクション(※2)の豊富さです。
ジム・トンプソン社ではかつてトンプソンの理念であったように、これまでにない生地の研究開発に力を入れていました。
特にタイというその気候柄、対候性とデザイン性優れる生地の開発はトンプソンが生きていれば、
情熱をかけて取り組んでいたテーマでしょう。

2012年の発売からこれまで5種類のコレクションが発売されています。

 
2015年『Fez outdoor』コレクション      2017年『Colourfield outdoor』コレクション

今季発売されるコレクションでもアウトドア仕様の生地はもちろん、地中海の色彩やローマの古代遺産からのモチーフを
デザインに取り入れた爽やかな2つのコレクションが発表されます。
早くも今年の夏が待ち遠しくなるような、リゾート風のコーディネーションにぴったりなコレクションとなりそうですね。

 
2018年『Aegeus』コレクション

2018年『Surf’s Up outdoor』コレクション
さて、ジム・トンプソンの意思を引き継ぎつつ、現在の彼らにしかできない手法で、新しい”ジム・トンプソン”の一面を
展開しているウー・バホリヨディンとリチャード・スミス。
トンプソンが生きていたらこの2人のデザイナーをどう評するでしょうか。
なかなか面白いことをやっているじゃないか! そう笑顔で答えてくれるはずです。
過去そして新しい挑戦へと、60周年を超えてますます目が離せないジム・トンプソンに、どうぞご期待ください!


「わしも一緒に作りたい・・・」

 

※1 ジム・トンプソン、ナンバーナイン・トンプソン2018年コレクションは日本未発売です。
発売時期についてはHPにてご確認下さい。
※2 ここでご紹介したアウトドア生地とは組成における対候性を指しており、
撥水効果についてはその範囲でありません。

【The Story】vol.1 ウィリアム・モリス
【The Story】vol.2 ニナ・キャンベル
【The Story】vol.3 マシュー・ウィリアムソン
【The Story】vol.4 パオラ・ナヴォーネ(前編)
【The Story】vol.4 パオラ・ナヴォーネ(後編)
【The Story】vol.5 ジム・トンプソン(前編)

テーブルウェア・フェスティバル2018

2018.02.10 / osaka

東京ドームで開催中の「テーブルウェア・フェスティバル2018~暮らしを彩る器展~」に行ってきました。

毎年2月に開催され、世界各地の食器やカトラリーなどテーブルにまつわるすべてのものが展示・販売されるイベント。
著名人やプロの方による食空間のテーブルコーディネートも見ることができます。

マナトレーディングも出店し、多彩なインテリアファブリックを使用した小物やアウトレット生地の販売から、
テーブルクロスやランチョンマット、クッションのイージーオーダーも承っております。


よろしければお立ち寄りください。

広い会場の中には、マナの生地を使ったディスプレイも見られました。

チケットの写真にも使われていたこちらのコーナーには、
HARLEQUIN(ハーレクイン)の壁紙が使われていました。


Pure Morris(ピュア・モリス)の生地がテーブルクロスに使われていたのもすごく素敵でした。
今すぐ真似したくなるコーディネートですね。


Sanderson(サンダーソン)とコラボレーションしたことがあるEmma Bridgewaterの展示には
『The Dresser』のカーテンもかけてありました。
こうして食器と一緒に見ると、実際にカーテンやクロスを使うイメージも湧きやすいのではないでしょうか。

一年に一度のこの機会。ぜひ会場へ足を運んでみてください。

■テーブルウェア・フェスティバル2018 ~暮らしを彩る器展~
会期:2018年2月4日(日)~2月12日(月) 10:00AM~7:00PM
*入場は閉場の1時間前まで
会場:東京ドーム (東京都文京区後楽1-3-61)
ブースNo:188 / MANAS (マナトレーディング)

【The Story】vol.5 ジム・トンプソン(前編)

2018.02.01 / tokyo

昨年9月より6回にわたり毎回ひとりの人物を取り上げ、ブランドにまつわるストーリーを
東京・大阪・名古屋のショールームブログよりリレー形式でお届けしています。

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【The Story】第5回目は、タイシルクの代名詞ともいえる“Jim Thompson (ジム・トンプソン)”から、
William Morris (モリス)と並んでファブリックの歴史に名を残す偉人の人生と、
現在のブランドを支える二人の若きクリエイターたちのお話。
今回は前編、ジム・トンプソンその人をご紹介します。

◆JIM THOMPSON ジム・トンプソン


タイへ旅行に行かれた方なら、一度ならずとこのブランドの名前を耳にした事があるでしょう。
ジム・トンプソンの美しいシルクのネクタイやスカーフはタイ土産の定番ですし、
建築家でもあったトンプソンがバンコクに建てたジム・トンプソン・ハウス(現在はミュージアム)を、
ツアーの工程で訪れた方も多いのではないでしょうか。


ジム・トンプソン(本名:James Harrison Willson Thompson)は1906年アメリカの裕福な家庭で生まれました。
プリンストン大学にて建築を学んだのち、新進気鋭の建築家としてNYを拠点に活躍します。
トンプソンは当時より関心を持っていたバレエのステージデザインや衣装の仕事をきっかけに、
インテリアデザイン、ファッション、ショービジネス、アート、メディアの世界での人脈を増やしていきます。

そんな順風満帆に思えた矢先、第二次世界大戦が勃発。
トンプソンは志願兵として入隊。現在のCIAの前身であるOSSに所属しタイ潜入指令の任にあたります。

このタイの地がトンプソンの人生を大きく転換させる舞台となりました。


悠然と流れるチャオプラヤ河、うっそうと茂るジャングルの奥地に静かにそびえる古代の仏塔や寺院たち。
そして力強くも、繊細な彫刻が施される美しいクメール美術の数々。
トンプソンは一目でこの地に魅了されました。
終戦後、彼は建築家としてバンコクの老舗ホテル、
オリエンタルホテル(現:マンダリン・オリエンタル・バンコク)の再建に尽力します。


 (トンプソンが商談で使用していたオリエンタルホテル内の「オーサーズ・ラウンジ」。
 明るく開放的な空間にジム・トンプソン社の張地で仕立てたコロニアルスタイルのインテリアがよく映えます。)

この時出会ったのが、衰退の一途を辿っていたタイシルクでした。

20世紀初頭に入るとタイの人々の生活様式の変化や外国からの安い絹織物などの流入を受け、
トンプソンが訪れた当時、バンコクではわずか数軒の家族が絹織物生産を続けていたのみと言われています。


トンプソンのタイの伝統文化・美術への敬意が、クメールの女神を微笑ませたのか
このシルクと出会ってわずか5年で、彼はタイシルクの国際的な地位を確立していきます。


1947年。トンプソンは早速、この魔法のように美しいシルクの見本を抱えて、NYに舞い戻ります。
エメラルドグリーンとマゼンダ、ターコイズブルーとショッキングピンクなど、
エキゾチックで魅惑的な色の組合せは、トンプソンの狙い通りNYの人々を魅了していきました。
NYで築いた人脈を通してタイシルクの評判はたちまち広がり、
ファッションの権威でもあるヴォーグ誌の当時の編集長エドナ・ウルマン・チェイスの称賛を勝ち取ることとなります。

翌年、トンプソンは「タイシルク商会」を設立。
1951年にはまるで成功の道が用意されていたかのように、
シャム国(現:タイ王国)を舞台にしたブロードウェイミュージカル「王様と私」が初演を迎え、
衣装提供をしたタイシルク商会は、ミュージカルの大ヒットと共に一躍タイシルクの名を世界に広めました。

ジム・トンプソンがシルク王といわれる所以は、
タイシルクに着目し世界一流のブランドに登りつめたデザイナーとしてのセンス、
そして養蚕から紡績、織りの作業と伝統的な人の手による技と西洋の技術的革新を融合させ、
地域産業として復興させた実業家としての手腕によるところが大きいでしょう。


現在でもその手法は変わりません。
数千もの家族経営の農場の協力と、自然の中の広大な敷地で
農場・工場・デザインスタジオ・そして研究開発、全ての工程を自社で手掛けています。
その規模はなんと445ヘクタール以上!
ここまで一貫した生産を行っているのは、世界でもジム・トンプソン社だけと言われています。

それは徹底した品質管理、全てのプロセスに必要な専門知識を統合してこれまでに無いファブリックを開発すること、
そして、地元の農家の伝統的な生計手段、文化、尊厳を維持することを目的としているからです。

トンプソンは西洋のファッションやインテリアにも使いやすいコンテンポラリーなデザインや配色を心掛け、
色落ちしない工夫や最新のプリントを技術を導入することで、今までにないタイシルクを開発することに成功しました。
それと共にタイの伝統的絵画やクメール美術に残された優美な柄や色使いを積極的に取り入れています。

妥協なき美の追究とタイの人々と自然との共生は、彼の揺るぎなき信念といえましょう。

さて事業の拡大と共に日々多忙を極めるトンプソンでしたが、
休日の趣味はもっぱら古い寺院を散策することでした。
同様に古美術品の収集家でもあった彼は、自宅にも国宝級の美術品を飾っていたそうですが、
「タイの物はタイに」という思想から、収集したものは全てタイ政府に引き渡すよう遺言に残しています。
タイの芸術を心から楽しみ、敬愛していたことが伺えるエピソードですね。

そんなコレクションの中でも特にお気に入りの絵画がありました。

「Weaving Scene」
生地を織る工程を描いたこの絵は長い間、ジム・トンプソン社のシンボルデザインとして使われてきました。
ここに描かれているのは、まさにトンプソンの夢見た桃源郷そのもの。
かつて戦争の、破壊の最前線にいた彼は、伝統が守られていく事の難しさと尊さを、
その身をもって知っていたことでしょう。
トンプソンが中世のこの風景・文化が復興したことの喜びと、継承していかなければならない矜持をもって
この絵を眺めていたことは想像に難くありません。

さて、その後も映画「ベン・ハー」などハリウッドへの衣装提供や、
タイ王国への貢献を讃えた「白象勲章」の授与、インテリアファブリックへの進出等、
精力的に活動の場を広げていきます。

ところが、その活躍にある日突然ピリオドが打たれます。

1967年3月26日。
イースター休暇でマレーシアの高原へ友人たちと訪れていたトンプソンは、
ディナーまでの空き時間にふらっと散歩へ出かけ、そのまま消息を絶ったのです。

彼はなぜ、そしてどこへ消えてしまったのでしょう。

CIAとして活動していた経歴から政治的陰謀による誘拐説、先住民による捕縛説、
密林でトラに襲われた説、自作自演説・・・等
密林に消えたミステリーとして、消息を絶った当時、莫大な懸賞金と共にさまざまな憶測が瞬く間に世界中に広まりました。

なんてドラマチックでミステリアスな人生!

この物語に魅了されたひとりに小説家松本清張がいます。
彼はトンプソンが失踪したキャメロンハイランドを舞台に、
トンプソンをモデルにしたアメリカ人実業家の失踪劇と日本で起きた殺人事件を
巧妙に絡めた推理小説「熱い絹」を執筆しました。
主人公と共に事件の真相を追いながら、トンプソンが過ごした当時のタイ、マレーシアに広がる
密林や発展途上の街の風景と、失踪における清張の推論を伺い知ることが出来ます。
興味のある方はぜひこちらも読んでみては。

まるでアンリ・ルソーの「夢」のように、
密林に潜む更なる美しい「何か」に導かれるかのように姿を消したジム・トンプソンは、
今でもその美を追い続けているのかもしれませんね。

 

さてそれから45年―。
2012年ジム・トンプソン社は新しく発売する壁紙コレクションの第1作目としてこちらのデザインを発表しました。

「Jim’s Dream」

トンプソンが愛した「Weaving Scean」のモチーフを再構成し、
年月を重ねた壁画調のデザインが現代のモダンなインテリアにも馴染む上品で美しい作品のひとつ。
これは、ブランドが若きクリエイターたちによってトンプソンの意思が引継がれ、
新しい段階に突入したことを物語っていると言えます。

トンプソンなき現在、彼が築き上げたタイシルク商会は現在2人のデザイナーが
クリエイティブディレクターとしてその手腕を振るっています。

次回はこのふたりについてご紹介していきましょう。

 

【The Story】vol.1 ウィリアム・モリス
【The Story】vol.2 ニナ・キャンベル
【The Story】vol.3 マシュー・ウィリアムソン
【The Story】vol.4 パオラ・ナヴォーネ(前編)
【The Story】vol.4 パオラ・ナヴォーネ(後編)