7月7日より群馬県立近代美術館で開催中の展覧会に行ってきました。
この展覧会は、現在
MORRIS & Co.(モリス)社が所属する
ウォーカーグリーン・バンク社傘下の
Sanderson(サンダーソン)が
19世紀頃から所蔵する壁紙や、壁紙を刷りだすための版木など
貴重なサンダーソンアーカイブよりおよそ130点を紹介するものです。
会場となる群馬県立近代美術館は高崎市にある「群馬の森公園」の中にある緑に囲まれた美術館。
建物の前ではエミール=アントワーヌ・ブールデルの作品「巨きな(おおきな)馬」が
お出迎えしてくれます。
エントランスロビーを抜けるとモリス展の会場はすぐ目の前に。
今回の展覧会のポスターに用いられているピンパーネルの壁紙装飾が目印です。
展覧会の序盤では「ウィリアム・モリス以前」と題し19世紀半ば、
まだ壁紙が上流階級の室内装飾として用いられていた時代の壁紙を紹介しています。
産業革命による印刷技術の向上によって、
一般庶民の家庭にも普及しはじめたのは1850年から1860年代。
時を同じくして開国した日本の文化やデザインは1862年のロンドン万国博覧会にて
一気にヨーロッパの人々の関心を集め、
のちにジャポニズム運動なるムーブメントを引き起こすほどにまで発展しました。
それは壁紙のデザインにも色濃く影響を与えていたようです。
展覧会では日本の「金唐革紙」
(和紙に金箔を貼り版木によって立体感のある模様をつけた壁紙)をキーワードに
当時の壁紙産業に与えた影響を窺い知ることが出来ます。
2章の「ウィリアム・モリスとモリス商会」ではウィリアム・モリスをはじめ
モリス商会が発表した壁紙を年代を追ってみることができます。
特筆すべきはモリス商会が販売していた当時のブロックプリントのかすれや、
インクのふくらみなど、現在のモリスの壁紙にそのままリアルに表現されていること!
手工業の味わいやぬくもりを何よりも大切にしたモリスの意思が、
現在のデザインにも大切に受け継がれていることに、ひとつの感動をおぼえます。
またこれまでもモリスのデザインに親しんでいらっしゃる方は、
ぜひデザインの背景にも注目してみてください。
ヴィクトリア女王のお城を手がけたときのデザインや
モリスが最愛の妻ジェインのために作成したデザインなど…
優雅な曲線美の中に新たな物語を見つけられるかもしれません。
その他にもモリスの壁紙や生地を使用した撮影ブースも複数設置しています。
中にはこの夏発売の
『PURE MORRIS (ピュアモリス)』コレクションを
いち早くお披露目しているブースも。
こちらは会場に行ってからのお楽しみということで…!
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ウィリアム・モリスと英国の壁紙展 ―美しい生活を求めて
会期:2018年7月7日(土)~8月26日(日)
休館日:月曜日(7/16、8/13を除く)
観覧料:一般820円、大学・高校生410円、中学生以下無料 (団体割引有り)
場所:群馬県立近代美術館
〒370-1293
群馬県高崎市綿貫町992-1 群馬の森公園内
会期中は講演会やワークショップなどのイベントも開催される予定です。
アクセス・その他詳細は美術館のホームページをご覧下さい。
http://mmag.pref.gunma.jp/exhibition/index.htm
美術館の周りには素敵な広場や公園もありました。
木陰を楽しみながら園内を散策するのもオススメです。
ぜひ、この夏はモリス展へ!