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『ROUEN VELVETS』発売と明星大学貴重書コレクション展「ウィリアム・モリス」

今月11月8日にMorris & Co. (ウィリアム・モリス)より 新作『ROUEN VELVETS』コレクションが発売されました。 2019年2弾目のコレクションは、若かりしモリスが旅したフランス旅行をヒントに、 大聖堂の荘厳で色彩豊かなインテリアからインスパイアされた、 極上のプリントベルベットコレクションです。 コレクション名の「ROUEN (ルーアン)」はフランス ノルマンディー地方の都市名であり、 ゴシック建築の代表作の一つである「ルーアン大聖堂」よりとられたもの。 大司教がまとうローブのように柔らかく深い色合いの真紅。 ダークグリーンやネイビーの重厚な色の中から浮きあがる、 チューリップやハニーサックルの鮮やかなコントラストは、 まるでバラ窓のステンドグラスのような色彩です。 東京ショールームでは現在クリスマスシーズンに向けて、 この『ROUEN VELVETS』のディスプレイを計画中。 その様子はInstagramやブログでも更新予定ですので、ぜひチェックしてみてくださいね!   さて、今回はそのウィリアム・モリスに関連したイベントを一つご紹介しましょう。 先日 東京都日野市の明星大学構内にある、資料書図書館にて開催中の ウィリアム・モリスの展覧会に行ってきました。 ウィリアム・モリスといえば、デザイナー、詩人、社会運動家など多方面にわたって活躍し、 近代英国デザインに大きな影響を及ぼした人物として、現在その功績が広く知られています。 これまでマナトレーディングでは、インテリアファブリックや壁紙などを扱う傍ら、 「アーツ&クラフツ運動」の精神を根幹としたモリス商会と、そのデザインについて、 機会あるごとにご紹介してきました。 (→詳しくはコチラ) 「Strawberry Thief 」 212564 今回の展覧会は、モリスの思想を形にしたもう一つの事業 ―ケルムスコット・プレス(私家印刷所)とその出版書籍にスポットを当てたもの。 モリス自らが著作した物語や詩篇、または編纂を手掛けた書物の展覧会です。 明星大学では、ケルムスコット・プレスが出版した書物53書目66巻のうち、 そのほとんどにあたる65巻の書籍をコレクションとして所蔵おり、 その全巻を3期に分けて展示しています。 展覧会では、貴重な書籍の展示だけでなく、 当時ケルムスコット・プレスで導入していた印刷機と同型の活版印刷機や映像資料も視聴でき、 モリスの書物にかける情熱や思想を感じながら、 その美しい装丁をゆっくり鑑賞することができます。 「Pimpernel 」 210386 大の読書家であったモリスは、幼少期から古代神話や中世の歴史書、 建築や社会思想などあらゆる文献を読み漁り、 「美しい書物こそ人々の心の豊かにするもの」と確信していました。 本を編纂するにあたり、モリスがまず参考としたのが主に15世紀ごろの歴史書や聖典の写本。 モリスは文章と挿絵のレイアウトや紙を徹底的に研究し選定、 より美しく読みやすい独自のレイアウトを開発、さらには活字体のデザインまでも行っています。 William Morris Gallery HP 参照 また各章の扉絵や装飾頭文字は、自身で描くだけでなく、 ラファエル前派の代表的な画家であり、生涯を通して友人でもあった、 エドワード・バーン=ジョーンズも数多く手掛けています。   さてモリスの追求した「本は美しいものであるべき」という信念は、 今回の展覧会の主役であるこの書籍をもって、大成したといっても過言ではないでしょう。 「チョーサー著作集」 モリスが敬愛した14世紀の詩人、ジェフリー・チョーサーの作品を編纂したものです。 中でも「カンタベリー物語」はその当時の民話や騎士物語や滑稽話など ユーモアと風刺を交えて綴られており、イギリス中世文学の最高傑作とされています。 1ページごとにモリスのこだわり抜かれたレイアウトと、挿絵が施され、 扉絵に描かれたバーン・ジョーンズによる87点もの木版画が、読む者を次の物語へと誘います。 縁飾りのぶどうはモリスのファブリックや壁紙でもお馴染みのモチーフのひとつ。 物語を読み進めるうちに、芳醇なぶどうや花々の香りが漂ってきそうな、 なんとも贅沢な読書体験ができそうな一冊です。 この著作集は、現在「世界三大美書」のひとつに数えられています。 「Grapevine」 224475 モリスのファブリックや壁紙を選ぶときには、 そんなデザインの背景を考えながら選ぶのも一つの楽しみになりそうですね。 明星大学での貴重書コレクション展は、2019年12月21日(土)までの開催です。 今展覧会では、貴重書の展示だけでなく、 他にも、プレゼント企画なども実施されているようですよ。 モリス好きの方はこれまでとは少し違った視点でモリスの作品をご覧いただけるかもしれません。 ぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか。 「Acanthus 」 216440 展覧会詳細については下記、明星大学のHPよりご覧ください。 ⇒明星大学HP 「ウィリアム・モリス —理想の書物を求めて―」