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2023年07月のブログ一覧

New!!『RUBELLI』ディスプレイ

2023.07.31 / tokyo

関東も梅雨が明け、いよいよ夏本番となりました。
今年は、久しぶりに夏満喫の楽しいプランを立てている方も多いのではないでしょうか。

さて、今回はイタリアのラグジュアリーブランドRUBELLI(ルベリ)をご紹介いたします。

1889年ヴェネチアに創設された『RUBELLI』。世界トップレベルの自社工場を保有、デザインから生産、販売まで一貫した体制で行っており、生み出される最高級ファブリックの創造の源は、ルネッサンス期まで遡ります。クラシックを追求しつつも、現代的なスタイルにアレンジされたファブリックは、世界各国の著名なホテルや、歴史的にも重要な建築物に、数多く取り入れられています。

2023SSコレクションは、”ヴェネチアの断片”を意味する、『FRAMMENTI VENEZIANI』。ルベリは”断片”のみが残る古いテキスタイルを保存する歴史資料館を所有しています。貴重な金箔置きの技、柔らかなベルベット、ガラスの反射、ヴェネツィアの偉大な巨匠の色、水の動き、時を経た古色、調和のとれたコントラスト…
これらは多くの場合が”断片”でしかないけれども、貴重で意味のあるもの。そういった、ヴェネチアを象徴するような”断片”からインスピレーションを得たデザインを、一つ一つ大切に集めたような、コレクションです。

それでは、東京ショールーム、ルベリコーナーに仲間入りしたディスプレイからご紹介しましょう。


こちらはリバーシブルの間仕切りカーテンです。
左の画像は、Veniceland 30608-01。右上の画像でご覧いただけるように、上部はハトメスタイルになっています。
このコットンサテンプリントは、メキシコ人デザイナー、ガブリエル・パチェコの”光”とインスピレーションに満ちた手から生まれたものです。
ゴンドラ、ブリコール (干潮時や霧の日でも、船が安全に航行できる場所を示す、運河の目印となるもの、またはゴンドラ等を係留するためのポール)、仮面 、橋、典型的なヴェネチア建築、ムラーノガラス、そして何よりも、運河の街のパワーの象徴である翼のあるライオンなど、ヴェネチアを象徴するすべてのものが含まれており、コレクションの名の通り”ヴェネチアの断片”がコラージュされたようなデザインです。

パチェコの巧みなタッチで、まるで劇場のように、それぞれのテーマがそれぞれの役割を担っており、現実と幻想、現在と夢の中間にある舞台で、魅惑的なシーンが連続している様を見ることができます。小さなモチーフ、エレガントなグラフィック、時には珍しい、不思議なミクロのパターンなど、細部まで目を凝らしてご覧ください。Venicelandは、このユニークな都市をブルーの濃淡で表現したユニークなシーンの数々で、私たちを万華鏡のような ヴェニス・ツアーに連れて行ってくれます。名前にも皮肉が込められているようです。(夢の国、○○ランドならぬ、ヴェニスランド?!)

この独特な世界観と、登場人物のどこかアンニュイな表情に見覚えのある方もいらっしゃるでしょうか。パチェコは以前にもルベリのために、強い刺激と色彩のインパクトを持つプリント生地を、2点制作しています。
2021SSコレクションの、 Il Marchese di Carabà 30410です。
17世紀の詩人シャルル・ペローの童話「長靴をはいた猫」のファンタジーの世界をモチーフにしたもので、Bonjour版(30410-01)では太陽の温かい光の中で、Bonne Nuit版(30410-02)では銀色に輝く月の光の中で、童話の中のキャラクター達が、浮かぶように描かれています。こちらもぜひ、チェックしてみてください。*インスタグラムでのご紹介記事はこちらからどうぞ!

そして、右下の画像は、この間仕切りカーテンの反対側の面となる、Silkglass 30600-04です。
歴史資料館に収蔵されている、異なる時代(17世紀と18世紀)のダマスクの”テッセラ”を組み合わせたものです。テッセラとは、モザイクを作る際に使用されるはめ石またはガラスの小片のこと。小さな”断片”をつなぎ合わせることで、Silkglassの名の通り、吹きガラスのようにエレガントで色彩豊かな、新しいシルクのようなパターンが生まれます。特殊な糸と特殊な加工により、ムラーノ島のガラス工芸品、特にヴェネチアの建築家でありデザイナーでもあった、カルロ・スカルパの、芸術的なガラス作品に見られる、玉虫色や、ほとんど形が無いかのような透明感を思い起こさせる「ガラス質」のような生地です。

ここで、カルロ・スカルパについてご紹介しておきましょう。

CARLO SCARPA(1906-1978)
ヴェネチア生まれのイタリア人建築家。
彼の建築は、素材への感性豊かな想像力に基づいており、季節や歴史といった時の移ろいを繊細に表現している。歴史、地域主義、発明、芸術家や職人の技術への関心を独創的なガラスや家具のデザインへと変換し、安藤忠雄やマリオ・ボッタといった建築家にまで、幅広く賞賛されている。展覧会の会場構成や既存の建物の改修などを多く手掛け、また日本建築の愛好家だったことでも知られる。

今回のコレクションには、他にもスカルパに因んだデザインがありますので、いくつかご紹介しましょう。


画像左は、Jupiter 30616-04
カルロ・スカルパが建築作品に使用した素材、天然石やスタッコの質感を想起させるコンテンポラリーなジャカード生地。5色展開で、ラグーンの水面に映る昼光や月光をイメージしたバージョンもあります。さまざまな色彩効果を生み出すため、ニュートラルカラー、ライトカラー、ダークカラーがシンフォニーを奏でるように、数多くの異なる糸が使用されています。

そして画像右は、Moon Promenade 30617-03
7色展開の質感のあるジャカード生地。純粋なテキスタイルの創造性を表現したもので、7種類もの異なるヨコ糸が使用されています。 ベース部の片鱗を残しながら”レリーフ”( 浮き彫り )状になるブークレをテーマにした結果、月の表面や、カルロ・スカルパが 1960 年代に建築に使用した素材を彷彿とさせる不規則な表面となりました。また、この1960年代と言えば、月面着陸と最初のムーンウォークが行われた時代であることが、生地名の由来です。 

Jupiter、Moon Promenadeのいずれも、タテ糸には、ルベリが数年前から使用している、ヒマの種子から得られるエコ・サスティナブルな糸、Evo(エボ)ナイロン*を使用しています。 

*Evo ナイロンNexusNeptuneなどにも使用されています)
植物のヒマ(別名:トウゴマ)の種子である、ヒマシ(蓖麻子) から作られた天然由来のナイロン。ヒマは育てるのに手がかからず水や肥料も少なくて済み、他の食用の植物と競合することがない。 また加工するのに使うエネルギーも石油由来のものより少なく、環境にやさしい素材。


続いてこちらは、King 30606-06
ムラーノガラスに金箔を貼ったような質感のある、ゴールドの表面が特徴的な 、リュクスなランパス織り。ガラスとゴールドの組み合わせは、右側の画像にあるような、カルロ・スカルパが金箔を使って制作した「ソンメルソガラス*」を参考にしています。シルクと並んで主役のゴールドが、全10色それぞれの色の反射を受け、これまでにない鮮やかな光の効果を生み出しています。この2つのメタリックテクスチャーの特徴である”レリーフ効果”が、ラグジュアリー感を際立たせています。常に装飾性を高め、高貴な雰囲気を醸し出してきたメタリック糸を使うことで、ファッションを超え、常にモダンなタッチのグラマラス感を与えています。リバーシブル仕様のため、左上の画像に見られるように、表面と裏面で表情が異なり、お好みに合わせお選びいただけます。

*ソンメルソ技法
1930年代にヴェニーニ社のカルロ・スカルパによって開発されたもの。ソンメルソ(イタリア語で「水没」)は、色が混じり合うことなく、対照的なガラスの層を2つ以上作るムラーノ島のガラス製造技術。色ガラスを別の色の溶けたガラスに浸し、必要な形に吹き込むことで形成される。最も外側の層は透明であることが多い。

さてここで再び、ディスプレイのご紹介に戻ります。

左上の画像のドレープ生地は、Charme 30604-05
シルクのような風合いを持つダマスク。歴史資料館にあるルネサンス期のベルベットの断片のパッチワークから着想を得て、特殊な織り方によって摩耗したような模様を再現しています。15色展開という豊富なカラーバリエーションも魅力です。

同じく左上の画像のシアー生地は、Improvisation 30627-03
フィル・クーペ技法*で作られた(ムリーヌ*のような)透明な ベース 地の上に、不規則で多彩なクロスハッチングが浮き出た、質感のあるシアー。4つのカラーバージョンにおいて、クロスハッチングはストローク自体の色によって変化しています 。 まるでジャズの曲のように、 クリエイティブな即興(=Improvisation)から生まれたような、明るく現代的なモチーフ。

フィル・クーペ
パターンを織り上げ、裏面の横糸を丁寧にカット。 フランス語で、 Fil は 「 糸 」 、Coupe は 「 切断された 」 、 「 裁断 」 の意味で、ジャカード織物の裏面に出るヨコ糸をカットし、フリンジ効果を出す。

Murrine ムリーヌ(単数形:Murrina)
ガラスの棒に描かれた色彩の模様やイメージのことで、棒を薄く切断することで模様が浮かび上がる。これを何本も組み合わせて使うと「ミルフィオリ」と呼ばれる。 製造は 4000 年以上前に中東で始まり、16世紀初頭にムラーノ島のヴェネチアン・ガラスの職人によって復活した。

そして、左下の画像は、Jam Session 30629-01
モダンなレースのデザインに沿って、途切れ途切れに浮かぶようなマットなラインが現れる、デコラティブなシアー生地。ヴェネチアのラグーンの水面に映る、光の反射からインスピレーションを得ています。

また、こちらの3アイテムは、いずれも防炎品のため、高層マンションやコントラクトユースも可能、うちシアーの2アイテムは、広巾でタテ使い推奨生地のため、吹き抜けや高窓にもお使いいただけます。

続いて、華やかなデザインからも幾つかご紹介しましょう。


こちらのコットンプリント生地は、Sally 30609-01
”コンテンポラリーアーティストによる作品から新しいフラワープリントを作る”というアイデアから生まれました。そこで、イギリス人画家のSally Anne Fitter(画像右)がルベリのために描いた花瓶の絵が選ばれました。彼女は、ロンドンにテキスタイル・デザイン・スタジオを構え、ラルフローレンやリバティのデザインも手掛けています。横畝のある”コットンファイユ”に描かれたこのデザインは、バラの花瓶が 「 ソリッドとヴォイド 」(構成要素(=柄の部分)と何もない空間)の交互配列で、とりわけエレガントなパターンで配置されています。
3色展開の、華やかで楽しいパターンです。
花瓶のデザインがコラージュで構成されているように見え、コレクションのテーマとマッチしています。彼女のアートを飾るように、お部屋に掛けて楽しんでみてはいかがでしょうか。


画像左は、Grand Amour 30602-01
アーカイブテキスタイルコレクションの小さな断片から生まれたシルク混のジャカード生地です。ユニークな点は、オリジナルの小さな花のモチーフを非常に大きなスケールに拡大したという、前例のないリメイクであるということ。エレガントで緻密に織られたサテン地に、バラとカーネーションが際立ち、セミマットなビスコース地に施されたシルエットのような模様によってさらに引き立てられています。ショッキングピンクの奔放な色調を、落ち着いたアイボリーが和らげているのです。

画像右は、Secret Venus 30605-02
私たち日本人にとって、どこか懐かしさを感じるような雰囲気がありませんか?それもそのはず、ルベリのアーカイブに保管されている1930年代の日本の絹の着物から着想を得た、サテン地に絹のランパスで、小さな凹凸を含む典型的な絞り技法の表情が残されています。1930年代のヴェネチアン・ガラス工房の芸術的な作品を彷彿とさせる形の花瓶のギャラリーを表現しています 。 6色展開で構成される斬新な柄で、いずれも明るいベース地に描かれています。

最後に、椅子張地としてもおすすめのアイテムをご紹介します。


画像左は、Dandy 30613-18
ストライプのベルベット。コーデュロイ・ベルベットを新しい解釈で表現したものです。その名の通り、常に最新のカジュアル・エレガンスを提供します。 力強くマットな質感は、1970 年代に流行したデザインを踏襲したもの。従来のストライプ・ベルベットとの差別化を図り、コンテンポラリーな椅子張りに最適な「ヤング」ベルベットとして提案しています。また、機能性としては防汚加工が施されています。

画像右は、Zelda 30620-14
テクニカルな「フェイク・ユニ*」に光のタッチを加えました。 既存アイテムのコンテンポラリーなツイード生地、Fabthirtyの、よりリッチな「兄弟」のようなものです。光沢と艶が交互に現れる表面の微細な模様は、織物の加工から生まれたものです。椅子張りにも適し、38色展開という充実したカラーバリエーションで、マルチに活躍するマストアイテムです。

フェイク・ユニ Faux uni
単色のように見える柄物で、色は控えめに合わせたり、同系色や異系色の小さな微妙なモチーフで柄を表現する。フランス語の “faux uni”(偽の統一感)に由来する。

ご紹介してまいりましたコレクション『FRAMMENTI VENEZIANI』いかがでしたでしょうか。
ルベリが本拠地を構えるヴェネチアの美しさや歴史に培われた誇りを、彼らが持つデザイン力や高度な生産技術を駆使して、余すところなく表現したアイテムが揃います。

暑さの厳しい季節、水の都ヴェネチアの水面を吹き抜ける風を想い浮かべながら、是非お楽しみください。

New!!『MORRIS&CO.×EMERY WALKER’S HOUSE』ディスプレイ

2023.07.04 / tokyo

紫陽花が雨に濡れて色鮮やかに見えるのも、雨の季節ならではの風情ではありますが、まるで梅雨明けしたかのような日差しの強い日も多く、そう遠くはない夏の気配を感じます。

さて今回は、弊社がお取り扱いしている数あるブランドの中でも、大変人気の高い『ウィリアム・モリス』の新しいコレクション『EMERY WALKER’S HOUSE』をご紹介いたします。


英国の思想家、詩人であり近代デザイン史上に大きな影響を与えたウィリアム・モリス。自然の樹木や草花などをモチーフにしたデザインは160余年を経た今日でも少しも新鮮さを失わず、世界中で根強いファンに愛され続けています。

モリスが生涯のうちに残した、多岐に渡る功績の中のひとつ、ケルムスコット・プレス社の設立をご存知でしょうか。彼は、活字のデザインに熱中し、自らのデザインにより美しく装飾された、手工芸による出版物を手掛けました。その折に、ビジネスパートナーとして協力した人物こそが、エメリー・ウォーカー卿でした。

Emery Walker
エメリー・ウォーカー卿は、彫刻家、写真家、印刷工として、アーツ・アンド・クラフツ運動の中心であった様々な組織団体において積極的に役割を担っていた人物。専門的なタイポグラファーとしての知識により、ウィリアム・モリスのケルムスコット・プレスをサポート。モリスのロンドンの住まい”ケルムスコット・ハウス”のほど近くに居を構え、毎日のようにお互いを行き来するほど親交を深め、美術工芸展協会などモリスが携わっていた団体をサポートしていました。 友情の証として彼の邸宅”ハマースミス・テラス7番地”には、モリス商会の家具など多くのモリスデザインが使われており、彼の一人娘ドロシーやその友人エリザベス、また1999年からはエメリー・ウォーカー・ハウス財団の努力により、驚くほど良い状態で保存されています。

すべてにおいて先駆者的な存在のデザイナーだったモリスにとって、 隣人であり友人、協力者、そして良き理解者であったエメリー・ウォーカー卿。今回のコレクションは、モリスのオリジナルデザインがふんだんに取り入れられたハマースミス・テラス7番地の彼の邸宅をベースに創られています。アーツ・アンド・クラフツ運動の素晴らしき痕跡である彼の邸宅から、多くのモリスデザインやハンドメイドの工芸品を再発見。まさしくこの邸宅とのコラボレート・コレクションとなっています。

それでは、収録アイテムをご紹介していきましょう。


こちらは、東京ショールームの、ウィリアム・モリスコーナーです。


画像左のカーテンは、Trent 227025
「トレント」とは、イギリスで3番目に長い川の名前。1888 年、モリス商会で最も高価なプリントテキスタイルという栄誉とともに誕生したファブリックです。
曲線を描くチューリップや曲がりくねるアカンサスの葉など、英国庭園の代表的なモチーフが描かれています。 モリスのデザイン理念である「広範囲に広がるリピートで目を楽しませる」「巧みに描かれたモチーフで魅了する」という 2 つの要素を表現したデザインになっています。ファブリックは右の画像のように3色展開、同柄の壁紙(アートワーク用)は2色展開です。


画像左のカーテンは、May’s Coverlet 237308
エメリー・ウォーカー卿の邸宅の寝室にある、印象的なクルーエル刺繍のベッドカバーのデザインを、再解釈したもの。オリジナルはモリスの次女メイによって、長年寝たきりだったとされるエメリーの妻のために作られたもので、モリス家とウォーカー家の女性たちの友情が生み出した創造性への賛辞でもあり、ウォーカー家で代々大切にされてきました。
リネン100%のベース生地に手作業で施されたメイのステッチは、彼女の驚異的な針仕事の才能を象徴するもの。オリジナルカラーを再現したインディゴの他、右の画像にある、絡みつく蔓のようなグリーンがあります。

*”刺繍の名手”であったメイ・モリスの素晴らしいデザインから着想を得た『MORRIS ARCHIVE V – MELSETTER』も2019年の発売以来、非常に人気の高いコレクションです。ぜひこちらもチェックしてみてください。


続いて、画像左のカーテンは、Bluebell 227038
英国で”春を感じる花”として知られるブルーベルの花を描いたもの。モリスの最も魅力的な資質のひとつは、このブルーベルのように、英国に自生する身近にありふれた”普通の花々”を愛したことでしょう。大きく描かれたアカンサスの葉や、絡み合う大きな葉で囲われた控えめなブルーベルは、春の森を彩るよう。

右の画像に見られるように、左右鏡写しのシンメトリックなデザインで、「(メインの花ではなく)第二の花」の名前をつけるという彼の伝統を引き継いでいます。1876年に描かれたデザインで、今回発売の3色の他に、素材や色使いなど表現が異なる既存色がございます。


画像左のカーテンは、Bower 227030
「バウワー」とは、庭や森の木々の下、日陰になる心地よい場所のことで、この高揚感溢れるデザインは、まさにそのもの。1877 年にモリスのパターンとして登録されたデザインで、生命力あふれる葉や花々が咲き誇るフローラル・ ワンダーランドを表現しています。ファブリックは右の画像のように4色展開、同柄の壁紙は3色展開です。


続いて、画像左のプリント生地は、Rose 227023
チューリップとバラの花が優雅に咲き誇る様と、ドラマチックな棘のある茎が重なり合ったデザインです。モリスは、このデザインに描かれている、雑木林の中で遊ぶ一対の楽しげな鳥のように、自然界の日常的なドラマをよく観察していました。1883 年にモリスが家具用生地としてデザインしたもので、エメリー・ウォーカー卿の邸宅の客室で広く使用されました。かつてアーカイヴコレクションに収録されていましたが、今回久し振りに再登場。ファブリックのみのアイテムで、イエロー系(227022)との、2色展開です。

画像右のプリント生地は、The Beauty of Life 227034
「The Beauty of Life」は、モリスが「文明が脅かされている、最新の危機に立ち向かえ」と熱烈に訴えた、1880年2月19日、バーミンガム芸術協会で行われた講演のタイトルです。この奮い起こすような叫びは、モリスの真髄であるスクロールする葉、美しい文字、遊び心のある野生動物のモチーフで装飾された豪華なインディゴカラーの生地に、永遠に刻まれます。モリスは、工業化された資本主義が「全人類から人生のあらゆる美を奪う」という脅威に立ち向かっていたのです。
こちらもアーカイヴコレクションに収録されていたデザイン。レタリングはウィリアム・モリス自身が発行していたケルムスコット・プレスの本からインスピレーションを受けています。ファブリックはこちらのインディゴ1色、同柄の壁紙は2色展開です。

左の画像の織り生地は、Flowers by May 237313
宝石のような魅惑的な色彩が、深い真夜中のようなインディゴカラーに映える草原の花々を、生き生きと描き出しています。ディテールの美しさが際立つこの生地は、もともとモリスの書斎に置かれていた17世紀の椅子の座面を飾っていたものです。モリス亡き後、次女のメイは「MM to EW」(May MorrisからEmery Walker へ)という献辞とともにカバー付きのクッションを作りました。「Flowers by May」には、世代を超えた友情が創造性を刺激するという物語があるのです。


こちらの画像の刺繍生地は、Daisy Embroidery 237310
鮮やかなマルチカラーが楽しい、1864年、モリス商会の初期の壁紙である「Daisy」の新しい刺繍バージョン。麻100% のベース生地に、厚みのあるステッチによるフローラルデザインが、手刺繍のようなクラフト感をもたらしています。


画像左のプリント生地は、Emery’s Willow
1874年に発表された「Willow(柳)」の背景に、遊び心あふれる泡のような形を配置しています。柳の木は、繊細に絡み合う枝と、わずかな風でも心地良くそよぐ葉を持ち、モリスが繰り返し使用したモチーフ。エメリー・ウォーカー卿の邸宅のダイニングルームに飾られていた、壁紙デザインが基になっています。画像の通り、3色展開のファブリックと、同柄の壁紙が4色のラインナップです。

画像右のプリント生地は、Borage
1883年、モリスによるデザイン。描かれている花は「ルリジサ」というハーブの一種で、蜂などの花粉を運ぶ者たちに好まれる植物。こちらは元々家具用生地として考案されたもので、精気溢れる花のパタ ーンと左右対称のデザインは、どんな家具にも生き生きとした視覚的な面白さをもたらします。エメリー・ウォーカー卿も、彼の邸宅の居間の家具用生地として使用しました。画像の通り、3色展開のファブリックと、同柄の壁紙が4色のラインナップです。


左の画像は、Bird Tapestry 237312
ペアの鳥が止まり、飛び立つ様子を交互に描いた穏やかで落ち着いたパターンです。こちらは、モリスが1878年に制作し、自身の邸宅”ケルムスコット・ハウス”の応接間に飾るために選んだタペストリーのデザインでした。美しく繊細に織り上げられたファブリックを、モリスに倣ってタペストリーのようにお部屋に掛け、モリスやウォーカー卿が生きた時代に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。

右の画像、中央の壁紙は、Bird 217194
前述のBird Tapestryのデザインが、今回初めて壁紙になりました。重厚なカラーから、フレッシュなカラーまで、お部屋に合わせてお選びいただける4色展開です。


Birdタペストリーと、 Kelmscott House のドローイングルームの様子( Emery Walker による撮影)*William Morris Societyアーカイヴ資料より


こちらの壁紙は、Rambling Rose 217206
森の散歩道やコテージのガーデンに咲くイングリッシュローズを描いたもの。バラを象徴する「愛」や「純粋さ」のイメージとは相反するかのように、蔓が巻き付き、ねじれ、棘のあるバラが、迷路のような構造で描かれています。バラは、モリスの壁紙には珍しいデザインで、タペストリーや詩の中に登場することが多いモチーフです。1877 年に発表されたデザインで、今回のコレクションにて久し振りの復活となりました。
東京ショールームのパネル展示でご覧いただける、こちらのカラーを含む3色展開、壁紙のみのアイテムです。


また、こちらの画像の壁紙、Wallflowerは、1890年にモリスによってデザインされたもので、アカンサスの葉の曲線に優しく描かれたウォールフラワーがバイタリティに満ちた力強い印象を与えています。濃い点描がサーフェスプリントのテクスチャー感を表現している一方、薄色の葉模様が彫刻のような奥行きを表しています。エメリー・ウォーカー卿の居間に掛けられていた壁紙にインスパイアされており、こちらも、今回のコレクションで久し振りの復活となりました。画像の3色展開、壁紙のみのアイテムです。

ご紹介してまいりました新しいコレクション『EMERY WALKER’S HOUSE』いかがでしたでしょうか。
収録のアイテムは、モリスが最初に確立した高い技術水準を維持するために、手仕事によるタッチ、最高水準の織物やプリントの品質担保など、あらゆる努力が払われ作り出されています。

愛に満ち、創造性溢れるものだったとされるモリスやモリスの家族とウォーカー卿の関係性が垣間見えるような、 これまでコレクションに加わることのなかったデザインや、再び表現されたモリスの名作が収録された「EMERY WALKER’S HOUSE」は、すべてのインテリア愛好家にフレッシュで新たな気づきを与えてくれる、 世界中のモリスファン待望のコレクションです。

美しいデザインに目を奪われ、背景にあるストーリーに思いを馳せる、奥深いモリスの世界をどうぞお楽しみください!
もっと詳しくお知りになりたい方は・・・

Emery Walker’s House HP
エメリー・ウォーカーズ・ハウスのホームページで、実際のお部屋の中の様子もご覧いただく事ができます。*一部画像をこちらからお借りしています。

MORRIS WORLD.JP
ウィリアム・モリスのタイムレスなデザインと「美しい暮らし」のための情報をお届けすることをコンセプトとしたサイトです。

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